前回のコラムでは、Google AI Studio などのツールを活用することで、中小企業でも無理なくAIを導入し、業務効率化を進められることをご紹介しました。
しかし、AIを“使う”ことと、AIやシステムを“自社で作る(内製化する)”ことはまったく別のフェーズです。
導入・運用が容易なツールが増えている一方で、内製化には固有の課題が存在します。
今回の記事では、大阪の中小企業がAI開発・システム開発の内製化に取り組む際、どのように進めれば失敗なく効率的にDXを進められるのか、そのポイントを解説します。
多くの企業では、外注費用を削減するために内製化を検討しますが、実際には内製化のほうが時間もコストも増えるケースは珍しくありません。
理由は、AI開発やシステム開発には高度な知識が必要であり、担当者が業務の合間に習得するには相応のコストがかかるからです。
プロトタイプは作れても、業務に落とし込む段階で止まってしまうケースも多く、「最初から外部と組んだ方がスムーズだった」という声もよく聞かれます。
大阪ではスピード感を大切にする企業も多く、「まずやってみる」文化が強いという特徴があります。
しかし、AIやシステム開発においては、その姿勢が裏目に出ることもあります。
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♦ 業務整理をしないまま作り始めてしまう
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♦ 既存システムとの兼ね合いを考慮していない
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♦ 担当者一人に負荷が集中してしまう
結果として、途中で開発が止まったり、現場に合わないシステムができてしまったりすることがあります。
最近では、「全部外注」「全部内製」という二極ではなく、
“外部パートナーの専門性” と “社内の業務理解” を組み合わせたハイブリッド型の開発体制 が中小企業の主流になりつつあります。
具体的には、外部が基本設計や初期構築を担当、社内は日々の改善・データ整備・運用を担当という形です。
こうすることで、品質とスピードの両立が可能となり、過度な内製化のリスクを減らすことができます。
AI活用においては、最初から内製化を目指すのではなく、Google AI Studio のようなツールで簡単な業務改善から始める のが現実的で効果的です。
小さく始めることで、
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♦ 社内がAIの活用に慣れる
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♦ どの業務がAI化に向いているか理解できる
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♦ 本格的な開発はどこを外部に任せるべきか判断できる
といった “成功するための視点” が自然に育ちます。
中小企業のAI開発・システム開発は、
「内製化=安く済む」ではなく、「どこを内製化し、どこを外部と協力するか」 を見極めることが重要です。
ツール活用(例:Google AI Studio) → 小さくAIを試す → 外部支援も組み合わせる → 必要な部分だけ内製化する
このような段階的アプローチこそ、大阪の中小企業が無理なくAI活用を進め、確実に成果を出すための最も合理的な進め方です。